まりひめの特徴は?
「まりひめ」は、さちのかと章姫の交配からできた新しい品種で、和歌山県のオリジナルいちごです。4年間の選抜と生産者を交えた品種検討会、現地での適応性試験等の結果、和歌山県農業試験場か育成し、約600もの個体から品質、収量とも優れた系統を選抜され、2010年(平成22年)3月に品種登録されました。
母親の章姫は果実が長めの円錐形をしており、少しやわらかめで口当たりがよく、果汁が豊富です。父親のさちのかは光沢のある濃い赤色の果皮で果肉は硬め、早生で酸味がまろやかで甘みとのバランスが良く、香りも芳醇です。
そんな優れた2品種を掛け合わせて生まれたのが「まりひめ」なのです。まりひめの特徴は、さちのかと章姫の良いところを引き継いでいます。糖度はさちのかと同等程度で甘味が強く、一番甘いとされる先端の糖度は約11~12度。程よい酸味で果汁がたっぷりでジューシーです。表面は、光沢のある鮮やかな赤色で、果肉も若干赤色を帯びています。果実は大きめで、比較的やわらかめ。形はきれいな円錐形をしています。まりひめは味と見た目がバランスの取れた優れた品種なのです。また、早生品種で、さちのかよりも収穫時期が2週間以上早く収穫ができ、収穫量も多くなります。
まりひめの名前の由来
まりひめの名前の由来は和歌山県の民芸品「紀州てまり」のようにかわいらしく 皆さんに愛される品種となることを願って命名されたそうです。
まりひめの旬の時期
まりひめの収穫時期は12~5月頃ですが、もっとも美味しいとされているのは12~2月頃までといわれています。一般的に流通しているいちごは通常、ハウス栽培されているのですが、ハウスと言えど冬は室温が低くなります。寒い冬の低温の中でじっくりと育ったまりひめは、本当に甘く優しい味わいで、果肉も比較的しっかりとしています。
もちろん3~5月でも美味しいまりひめはあるのですが、気温が上がってくると成長が早くなり、いちご本来の味わいが少なくなり糖度も低下する傾向があります。また、果肉もよりやわらかくなってしまいますので、輸送時に傷みが発生することも多くなっていきます。
当ホームページでは「イチゴ農家が教える 美味しいイチゴ 甘いイチゴの見分け方 選ぶ方法のコツ」も掲載しておりますのでよろしければご一読ください。
まりひめの栽培
生産者数と面積
まりひめは和歌山県のみで栽培されていますが、主に県の北部の紀北地方(紀の川流域)と中部の紀中地方(日高地方・有田地方)の沿岸部などで多く栽培されています。和歌山県いちご生産組合連合会では242軒(令和3年会員)の生産者が利用許諾を受けており、198軒が約18.7ヘクタールのハウスで栽培しています。
栽培について
まりひめの収穫が終わった6月以降は苗を育てる育苗作業、土作りなどをおこないます。そして9月頃に苗を定植し12月頃から収穫されます。花が咲いたらミツバチを入れて受粉を助けます。また、大きい果実を作るために摘花(摘果)作業も定期的に行います。
高設栽培・土耕栽培
高設栽培とは、地面から約1mほどの高さに設置した栽培槽でまりひめを育てる栽培方法で、近年は高設栽培を導入する生産者が増えてきています。栽培槽には土が入っており、人が立って作業できますので作業効率も良く、「和歌山県型高設栽培システム」では低コストで導入ができます。土耕栽培は以前からの方法で、作業効率こそ高設には劣りますが、手間暇を惜しまず土作りなどを行い、いちご本来の味わいにこだわって土耕栽培を続けている生産者もおられます。
毬姫様(まりひめプレミアム)
毬姫様(まりひめプレミアム)は、まりひめの中でも果実の重さが35g以上で、糖度9度以上の完熟果実を厳選した特別ないちごです。毬姫様として出荷されるいちごは、生産量のわずか0.1%程度しか出荷されない貴重なまりひめです。2021年現在、毬姫様(まりひめプレミアム)の生産を許可されている生産者は33軒のみ。また販売期間も限られており、まりひめが一番おいしいとされている12月~2月の期間限定商品となっています。
毬姫様(まりひめプレミアム)は、品質のみならず、包装にもこだわっており、いちご同士が触れないように、ひとつずつ個別のポケットに入る特別な化粧箱で出荷されます。また、毬姫様はその品質の高さを評価され、和歌山県優良県産品「プレミア和歌山」にも認定されています。
テレビでも紹介されたまりひめ
まりひめは、2016年にTBS「マツコの知らない世界」で紹介されました。その際に和歌山県御坊市のいちご農園「農園 紀の国」さんがまりひめを提供されました。紹介者の野山苺摘さんもいちご狩りに来られたそうです。この放送により、和歌山自慢のイチゴ「まりひめ」が全国の方が知るきっかけになりました。
まりひめはどこで買えますか?
まりひめが買えるお店
まりひめは収穫量が多くありません。収穫されたまりひめのほとんどは和歌山県内で消費されていて、スーパーや直売所で購入可能です。一部は大阪を中心とした京阪神地域には出荷されていますが、一般のスーパーではほとんど見かけることはありません。京阪神地域では百貨店(デパ地下)や高級果物店で探してみると稀に置いていることがあります。特にいちごは鮮度が重要な果物です。基本的には収穫された瞬間が一番おいしく、時間が経つにつれて品質が落ちていきます。スーパーなどでは流通の関係上、収穫から3~4日程度経ったいちごが並んでいることが多いです。
生産者から直接買う
いちごはその特性上、生産者から直接購入することが一番理想的です。新鮮なものを購入できるからです。しかし、まりひめ生産者は和歌山県内に約200軒ほどしかなく、実際に直売をされている生産者はかなり少ないと思います。また、収穫は毎日行われるわけではなく、青果市場やJA(農協)への出荷日に合わせて収穫されることが多いようです。そのため、生産者の直売所も毎日営業されているところはほとんど無いと思われます。連絡先が分かる場合は事前に確認してから行くのがおすすめです。
まりひめの価格
まりひめの価格は12月が一番高く、5月にかけて値段が下がっていきます。スーパーや直売所では1パックあたり1,500円前後からはじまり、5月頃には500円前後になります。まりひめは年々人気が高くなってきており、いちごのランキングでも上位を獲得したりしています。価格も年々上がる傾向にあります。まりひめの中でも一番高級な毬姫様ともなると、1パック5,000~10,000円と、他の高級いちごに匹敵するほどの価格となります。
ネット通販・ふるさと納税がおすすめ
基本的には、朝採りのいちごをネット通販やふるさと納税で産地から取り寄せるのがオススメです。特に近年はネット販売とふるさと納税が大変人気となっており、市場価格も上がってきています。ただし、まりひめは他の品種のいちごと比較すると果実がやわらかい傾向があり、長距離の輸送には弱いとされています。まりひめをネットで購入される際は、いちごが2段になっているものではなく、1段の平パックのものや個包装になっているものを選ぶと傷みも少ないと思います。2段のものは、輸送途中にいちご同士がこすれて傷みが発生する可能性が高くなります。