ご家庭で簡単に作れる手作り自家製梅酒
梅酒は、多くの人に愛されるお酒のひとつ。緑茶梅酒や黒糖梅酒など、バリエーションも豊富になってきています。しかしなんと言ってもこの梅酒、はじめての方でもチャレンジしやすい簡単で人気の自家製果実酒でもあります。味わいはもちろん、手作りの梅酒が熟成していく過程も同時に楽しむことができます。
梅酒をはじめ、梅にはクエン酸などの有機酸が含まれており、疲労回復などの効果があるとされています。梅酒って食前酒としてよく見かけますよね。これは梅酒に食欲を増進させる効果があるためです。本ページでは、梅の郷、紀州和歌山の中でも梅の一大産地として全国的にも有名な、みなべ町で梅を生産する梅農家が教える紀州南高梅の青梅を使ったおいしい梅酒の作り方(レシピ)をご紹介いたします。梅酒を作る時期は6月頃。梅酒作りに必要な生の梅(青梅)は5月末~6月下旬頃にしか手に入りません。その頃に購入しておいて冷凍しておくのもオススメです。
材料と用意するもの
青梅(南高梅) | 1kg |
---|---|
氷砂糖 | 500~800g |
ホワイトリカー(焼酎) | 1.8リットル |
果実酒用の容器 | 4リットル容器 |
竹串 | 数本(強度のあるものがオススメです) |
■砂糖の量はお好みで調整してください。甘さ控えめの場合は500g、甘めの場合は800gが目安です。
■出来上がり量の目安:約2.2~2.4リットル程度
梅酒作りの手順
1.道具の消毒
果実酒瓶は焼酎等を回し入れるか、熱湯で消毒してください。焼酎を入れる場合は容器を振って全体に行き渡るようにまわし、中に残った焼酎は捨てます。使う道具類も同様に熱湯消毒などを行います。
※ガラス瓶の熱湯消毒について
ガラスはいきなり熱湯を入れると割れることがあります。まずはぬるま湯で十分に温めてから熱湯を回しかけます。同時にフタの消毒もします。清潔なふきんの上に下向きに瓶を置き、完全に乾かしてから使用してください。
2.アク抜き
南高梅を使う場合アク抜きは必要ありませんが、青くて固い梅の場合(品種:古城等)はアク抜きが必要です。水をたっぷり入れたボール等に梅を入れ、2~4時間ほどアク抜きをします。
※熟して黄色くなった完熟梅や冷凍した梅を使う場合は、水に浸けると傷みますのでアク抜きは必要ありません。
3. 水洗い
流水で丁寧に水洗いを行います。洗い終わったあとはザルなどにあけて水気を切ります。大きいキズのあるもの、傷んだものがあれば取り除いておきます。
4. 水分を拭き取る
ザルなどにあけて水気を切った梅を、清潔なふきんやキッチンタオルで水分をしっかり拭き取り、しばらく乾燥させます。
5.ヘタ取り
竹串などを使って梅のヘタ(ホシ)を取り除きます。つまようじは折れやすいので、強度のある竹串や鉄砲串がおすすめです。ヘタを取らずに漬けるとエグ味がでることがありますので、きれいに取りましょう。(※取り残しがあるとヘタが取れて浮かんできます)。梅酒を美味しく作るコツはヘタをしっかり取ることです。
※青梅を冷凍しておく場合
ヘタを取った状態で梅を冷凍しておくと、いつでも梅酒を作ることができます。
6.容器に梅と氷砂糖を入れる
先に梅を入れてその上に氷砂糖を乗せます。あとは梅と氷砂糖を交互に容器の中へ入れていきます。
7.ホワイトリカーを入れる
梅と氷砂糖を入れ終えたら、その上からホワイトリカーを静かに流し入れます。
■ホワイトリカー以外のお酒でも作れます
ブランデーやウイスキー・ウォッカ・ジン・老酒など、アルコール度数が35%以上のお酒であれば梅酒を作ることができます。分量は同じです。
8.保存・熟成
ホワイトリカーを入れ終えたらしっかりとフタを閉め、冷暗所で保管します。氷砂糖が溶けるまで週に数回程度、容器を動かして中の糖分を均一にしてください。氷砂糖が溶けたら、美味しい梅酒になるのをじっくりと待ちましょう。
9.飲み頃
3ヶ月程度であっさりとした梅酒が楽しめますが、半年から1年が飲み頃です。さらにじっくりと熟成させることでコクと深みのある美味しい梅酒になっていきます。待てば待つほど深みが増すといわれる梅酒。是非ご自宅でチャレンジしてみてください。
■梅を取り出すタイミング
梅の実を入れたままにしておくと、にごりや苦味がでる場合がありますので、1年~1年半くらい漬けたら中の梅を取り出して、漉しておくと長期保存ができます。
梅・材料・道具選びのポイント
青梅選び
青梅は和歌山県産の新鮮な南高梅を使います。南高梅の特徴はその大きさです。梅酒には2Lサイズ以上がおすすめです。大きい梅ほど果汁も多く、梅のエキスがたっぷり含まれています。今回は作りやすさも考慮して2L~3Lサイズ(直径3.7~4.5cm)を選びました。新鮮でキズが少ない梅がおすすめです。
■サイズ選びのポイント
梅のエキスもたっぷりで扱いやすい2~3Lサイズがおすすめです。
■冷凍梅を使う場合
冷凍梅は解凍せずに凍った状態のまま漬けてください。
氷砂糖
使用する氷砂糖の量は、梅の重さに対して50~80%程度です。目安は青梅1kgに対して500g程度、甘めで作りたい場合は800gほど入れます。氷砂糖を使用する理由は、雑味が少なく溶けにくい性質を活かして梅のエキスをじっくりと引き出せるためです。もちろんグラニュー糖など、他の砂糖でも代用可能です。
焼酎(ホワイトリカー)
ホワイトリカー(焼酎)はアルコール度数35%以上の物を使用します。ホワイトリカーはほとんど無味無臭のため、梅のエキスの味わいや風味が出やすくなります。他のお酒でも作ることができます。(※詳細は良くある質問(FAQ)にて)
果実酒瓶
容器は、果実酒瓶で広口のものを使います。容器の大きさは、梅の重さに対して4倍程の容量のものが適しています。(梅1kgの場合は4L容器)
竹串・鉄砲串
梅のヘタを取るのは強度のある竹串、鉄砲串がおすすめです。本数も数本は用意しておきましょう。爪楊枝ではすぐに折れてしまいますのでご注意ください。
ブランデー梅酒の作り方
青梅(南高梅) | 1kg |
---|---|
氷砂糖 | 500~800g |
ブランデー | 1.8リットル |
果実酒用の容器 | 4リットル容器 |
ブランデー以外では、ウイスキー・ウォッカ・ジン・老酒などもご利用いただけます。作り方はホワイトリカーの場合と同じです。
はちみつ梅酒の作り方
青梅(南高梅) | 1kg |
---|---|
はちみつ | 500~800g |
ブランデー | 1.8リットル |
果実酒用の容器 | 4リットル容器 |
はちみつならではの口当たりとコクが味わえます。氷砂糖をハチミツに替えるだけ、手順はまったく同じです。はちみつの量はお好みで調整してください。はちみつは溶けにくいので、漬け込み後2週間は毎日一回、容器をよく揺すり糖分を均等にします。その後も1カ月に数回この作業を繰り返します。
梅酒作りの豆知識(氷砂糖と浸透圧)
梅酒作りでは氷砂糖を使います。実は、美味しい梅酒を作るには氷砂糖が不可欠なんです。それは、お酒(ホワイトリカー)と氷砂糖が美味しい梅酒を作りだす浸透圧を絶妙なバランスに調整してくれるためです。梅酒に限らず、漬け物は浸透圧という現象を利用して作ります。梅酒の場合、氷砂糖がその性質を十分に発揮することで、浸透圧によって梅のおいしいエキスをホワイトリカーに抽出することができます。その仕組みは、ゆっくりと溶けていく氷砂糖の性質を活かすことにあります。
まず最初に、氷砂糖を入れてすぐの状態では梅の方が糖分が高いため、梅がその実の中へホワイトリカー(水分)を含んでいきます。この時、梅は膨らんでいきます。そして、その取り込んだホワイトリカーに梅のエキスや香りが溶けだしていくのです。氷砂糖が溶けて周りのホワイトリカーの糖度が上がってくると、今度は逆に梅の実の中に入ったホワイトリカーが梅から出てきます。 この浸透圧のバランスが落ち着くのが3ヶ月~半年とされているので、いわゆる飲み頃とされています。また、粉砂糖を使うとホワイトリカーの糖度が一気に上がり、梅のエキスが抽出されにくいうえ、一部は溶けずに底に溜まってしまうこともありますので、梅酒にはあまり適していません。
よくある質問(FAQ)
- キズのある青梅で漬けても大丈夫ですか?
- 小さいキズ程度なら漬けても問題ありませんが、大きいキズのあるものや、傷んでいるものは取り除いてください。大きいキズの場合は梅酒がにごることがあります。
- アク抜きは必要ですか?
- 新鮮な南高梅を使う場合はアク抜きの必要はありませんが、青くて硬い青梅(品種:古城など)は、2~4時間程度アク抜きしてください。長時間浸けると傷む原因になりますのでご注意ください。
- 氷砂糖以外でも作れますか?
- 可能です。氷砂糖は純度が高く雑味が少ないので梅本来の風味を味わうことができます。また、ゆっくりと溶けるため梅のエキスがじっくりと抽出され、美味しく出来上がるといわれています。
- 梅の実を取り出すタイミングは?
- 1年程度で梅のエキスが液に浸透しますので、それ以後ならいつでもかまいません。取り出さずにそのままにしておく方が風味・色・香り・コクが増します。ただし梅の実を入れっぱなしにしておくと、にごりや苦味がでる場合がありますので注意が必要です。
- 取り出した梅の実は食べられますか?
- そのまま食べることもできますが、ジャムなどもよく使われます。(果肉を細かく刻んで砂糖と一緒に煮れば完成です)。ゼリーなどに入れるのもおすすめです。
- 完熟梅で梅酒を作ることはできますか?
- 可能です。皮がやわらかくなっていますので、つぶれないように取扱いに注意してください。基本的には青くて硬い梅で作る方が梅のエキスが出やすいといわれていますので、青梅で作ることをおすすめいたします。しかし、フルーティーな香りが良いということで敢えて完熟梅を好んで作られる方もいます。(※自然落下完熟梅は傷みがある場合が多いため梅酒用には不向きです)
- ホワイトリカー以外でも梅酒を作ることはできますか?
- 可能です。アルコール度数35度以上のお酒が基本です。焼酎以外ですとブランデー、ウイスキー、ウォッカなどが一般的です。出来上がりの味がお酒の味に左右されますのでご注意ください。日本酒などで梅酒を作られる方がおられますが最低でも20度以上のお酒で漬けてください。
- 青梅の保存方法を教えてほしい
- 青梅は鮮度が落ちやすいので、購入後は必ず冷蔵保管し、できる限り早めに漬けましょう。(3日以内程度)また青梅は冷凍保存が可能です。使いきれなかった場合は冷凍しておきましょう。冷凍する前に手順1の水洗い→5のヘタ取りを行ってから冷凍することをオススメいたします。漬ける際は凍ったまますぐに利用できます。
- 冷凍青梅で漬けても大丈夫ですか?
- 大丈夫です。むしろ冷凍梅で作る方が梅のエキスがでやすいといわれています。冷凍する前に梅をよく洗いヘタを取っておくと便利です。その場合は解凍せずに凍った状態のまま漬けることができます。
- 中の梅がしわしわにならない
- 基本的には問題ありません。梅にも個体差があります。浸透圧の関係で砂糖の分量が多いほどしわしわになりやすくなります。梅からエキスが出たあとにホワイトリカーが梅の中に入ることがありますので、しわしわになっていないからといって必ずしもエキスがでていないわけではありません。
- 梅酒が濁った場合の対処方法は?
- まずは梅の実を全て取り出してください。残った梅酒はガーゼなどで漉してください。
- 出来上がりの量を教えてほしい
- 梅1kg、氷砂糖500g、ホワイトリカー1.8Lの場合は、約2.2~2.4L程度が目安となります。
- 容器はどれくらいの容量を購入したらよいですか?
- 漬ける梅の約4倍の容量が目安となります。1kgの場合は4リットル容器、2kgの場合は8リットル容器がおすすめです。
- 賞味期限はどれくらいですか?
- 度数の高いアルコールで漬けていますので賞味期限はありません。年月を重ねるごとに熟成し深いコクがでてくるのが梅酒の楽しみのひとつです。
- 梅酒の飲み方を教えてほしい
- ロックはもちろん、水割り、お湯割り、ソーダ割りなどでお楽しみいただけます。料理やデザートのアクセントにも使うことができます。