みかんの剥き方(和歌山むき・有田むき)
和歌山のみかん農家がお教えするみかんの剥き方(和歌山むき・有田むき)。みかんの生産量が全国1位の和歌山県。この剥き方は和歌山県人の多くが知っていてる高速でみかんをむく方法です。全国的には「和歌山むき」と呼ばれていますが、特に栽培が盛んな有田地方の人には「有田むき」と呼ばれています。和歌山むきは簡単でとにかく早い。その上きれいに剥けて衛生的。食べ残した場合でも簡単に保存できちゃいます。
本ページでは和歌山のみかん農家の視点でとにかく早くてきれいに剥ける和歌山むき(有田むき)の方法をご紹介させていただきます。みかんの美味しい時期は11月~1月頃です。是非一度和歌山むきをお試しいただければと思います。では早速、剥き方を順に見ていきましょう
ヘタを下にしてみかんを手に持ちます
まずはみかんを手に持って、ヘタを下に向けます。この向きで剥くおくことが重要ですので、向きを間違わないように注意してください。
みかんを半分に割る
みかんの中心の少し凹んだおヘソの部分に親指の爪をグッと入れて半分に割ります。この時、下のヘタの部分は切り離さずに残しておきます。
さらに4等分に割る
半分に割ったみかんをさらに半分に(4等分)に割ります。この時にも下の部分は切り離さないでください。
4等分に割れた状態
きれいに4等分に割れました。みかんの房の数は約10~12房ほどですので、4等分すると1欠片は3房ほどになります。
ヘタ側から皮を外します
ヘタ側から皮を外していきます。この向きがポイントで、ヘタ側から剥くことでみかんの白い筋(アルベド)がきれいに取れるのです。少し余談ですが、白い筋には栄養素(ヘスペリジン)が多く含まれていますので、筋を取らずに食べた方が健康にはより効果的かと思います。
きれいに剥けました
皮からきれいに剥くことができました。ここまでの所要時間は約10秒前後かと思います。驚きの早さで剥くことができました。
完成
全て剥くとこのような形に皮が残ります。きれいに剥けるので皮の処理も楽ちん。1欠片ずつ食べるようにすれば万一余った場合も皮を付けたままでラップで包めば保存も簡単です。
一般的な剥き方との比較
写真左が普通に剥いた場合(所要時間:約20秒)。写真右が和歌山むきで剥いた場合(所要時間:約10秒)。和歌山むきで剥いた方が早いですし、白い筋もきれいに取れる上に手も汚れにくいのではと思います。
和歌山むきのまとめ
和歌山むき(有田むき)の特徴はとにかく早く剥けるということ。そして手も汚れにくいこと。和歌山県人の約6割の人がこの和歌山むきでみかんを剥いています。特に有田地方のみかん農家ではほとんどの方がこの剥き方を使っています。
この和歌山むきという剥き方が広がったのには、みかん農家が収穫時に軍手を付けたまま味見ができるからという理由があるともいわれています。
みかんの栄養成分
ビタミンC
みかんには、特にビタミンCが多く含まれています。成人の一日当たりのビタミン所要量(100mg)はみかん2~3個くらいで摂取することができます。ビタミンCには抗酸化作用や、体の免疫力を高める働きがあり、風邪やインフルエンザの予防にも期待ができます。また、ビタミンCには、シミやそばかすを原因となる酵素(チロシナーゼ)を抑える働きがあり、美肌効果も期待できます。
他にも、心筋梗塞や狭心症、脳梗塞などの動脈硬化を発生させる悪玉コレステロール(LDLコレステロール)を抑制する働きも期待できます。
β-クリプトキサンチン
β-クリプトキサンチンは温州みかんに特徴的に多く含まれていることがわかっています。β-クリプトキサンチンとは、色の素となる成分で、ニンジンに含まれるβ-カロテンの仲間(カロテノイド)です。カロテノイドは、くだものや野菜、海藻などに含まれる天然の色素成分。
栄養疫学研究(三ヶ日町研究)では、血中のβ-クリプトキサンチン濃度が高い人ほど、骨粗しょう症、肝機能障害や動脈硬化、インスリン抵抗性(糖尿病)のリスクが低くなるという研究結果がでています。
1、骨粗しょう症予防効果
三ヶ日町研究から、血中β-クリプトキサンチンレベルが高い閉経女性は低い人に比べて骨粗しょう症の発症率が有意に低いことがわかりました。みかんの摂取が閉経女性の骨の維持や形成に有用である可能性が確認されました。
2、2型糖尿病予防効果
農研機構果樹研究所は、浜松医科大学健康社会医学講座、浜松市との合同調査の結果、温州みかんを毎日3~4個食べている人は、食べていない人と比較して、50%以上も糖尿病の発症率が低いことがわかりました。これは、β-クリプトキサンチンの抗酸化作用によるものと考えられています。
3、発がん性予防効果
β-クリプトキサンチンは発がん物質や活性酸素などの有害物質から細胞を守る抗酸化作用があるとされています。β-クリプトキサンチンが、がんの発生を抑制することはマウスの実験でも確認されており、温州みかん2個を毎日摂取した場合に、がんの予防効果が期待できるといわれています。
また、農水省果樹試験場、京都府立医科大学などの共同研究グループは柑橘類に含まれるβ-クリプトキサンチンには、人参などに含まれるβ-カロテンの約5倍の発がん抑制効果があることが確認されたそうです。
β-クリプトキサンチンの含有量の目安(μg/100g)
- 温州みかん … 1,800μg
- 柿 … 500μg
- ネーブルオレンジ … 210μg
みかんの白い筋や薄皮は食べたほうが良い?
みかんを食べる際、実の周りについている白い筋を取りますか?それとも白い筋がついたまま食べますか?薄皮(じょうのう)は残していませんか?これらにも栄養素が含まれていますので、知識を得ながらみかんを美味しく食べましょう。
白い筋(アルベド)
実の周りについている白い筋、この繊維の名前は「アルベド」といい、実へ養分を運ぶための働きをします。アルベドにはビタミンやペクチン(水溶性食物繊維)が豊富です。特にビタミンP(ポリフェノールの一種)の中でもヘスペリジンというポリフェノールが注目されています。アルベドにはヘスペリジンが実の100倍含まれているそうです。
ヘスペリジンはビタミンCの働きを助ける作用のほかにも、毛細血管強化、血流改善効果、抗アレルギー、免疫力改善の効果が期待できます。冷え性の方向けのサプリの原料にも使われています。白い筋は口の中に残ってしまったり、少し苦い味がすることがありますが、健康効果を考えて食べてみるのも良いかもしれません。
薄皮(じょうのう)
みかんの薄皮(じょうのう)には白い筋同様に、ヘスペリジン、ペクチンが含まれています。ペクチンは食物繊維ですので、便秘の解消を助けてくれます。またペクチンは、腸の中の善玉菌を増やし、腸内環境を整えてくれる効果も期待できます。高血圧や動脈硬化の予防にも。みかんの薄皮もしっかりと食べて健康効果アップ。